2013年 2月 06日(水曜日)
1月23日、新竹のSAHTECH(安全衛生技術中心)、台北の化学物質管理コンサルタント
を訪問、既存化学物質インベントリー、化学物質登録制度、GHS実施等の進捗状況、
今後の見通しについて質問、最新情報を入手しました。
1 既存化学物質インベントリー
①届出物質数は増補届出を含め全部で79,000物質以上。その中、年間数量1トン以上
は20,000-30,000物質、危険物質は1,000物質以下。
②再増補届出実施については明確な回答は得られませんでしたが、現在、立法院の
審議に付されている労工安全衛生法、毒性化学物質管理法の改正案が成立次第、
実施される可能性が大であるとの感触を得ました。増補届出対象期間の延長が
あるかどうかは法案の成立時期によりますが、最大、法成立直前まで認められる
可能性もあります。2010年12月31日以後に初めて台湾に輸出した物質についても
再増補に備え、証拠書類(輸入証明、成分表)を準備しておくことをお勧めします。
2 化学物質登録制度
①労工安全衛生法、毒性化学物質管理法の改正案は昨年末、行政院の承認を得て
立法院に回され第1回審議(議案骨子説明)は行われましたが、春節で審議は
中断されます。春節後の会期は2月末から5月末で、本会期中の成立を目指して
います。従って、改正法の公布は早くても2013年6月、新規化学物質、
優先指定化学物質の登録はその1年後、2014年6月になると思われます。
②予備登録については既存化学物質届出と重複するとの意見もありますが、
改正法成立後に実施の見込大と思われます。予備登録の手続きは既存化学物質届出
の時と同様で台湾内に連絡人を置くことが求められます。登録免除の対象はREACH
と同様で、少量免除については協議中とのことです。REACHのように予備登録物質全て
に本登録が求められるわけではなく、本登録が必要なのは優先物質に指定された場合
のみです。
③登録優先物質は、年間取扱量、危険有害性(CMRなど)、暴露予測に基づいて選定
されます。具体的にはこれからですが、何れにしても産業界への負担が最小になるよう
に考えていますとのことです。
3 GHS
①既存化学物質インベントリー収載物質中、19,000物質はGHSにより危険有害性有りに
分類されます。その中、2009年に1,062物質、2010年に1,089物質をGHS優先適用
物質として指定しました。2,000社について査察した結果、日本企業も含む40%に
使用言語が台湾語(繁体字)でないなど違反が認められ、警告チケットが出されました。
再度の警告に対しても改善がない場合は罰金・罰則が課されます。
②第3回目のGHS優先適用約1,000物質については、早ければ3月に公表の予定で、
一定の意見聴取期間をおいて2013年6月までに決定される予定です。その後は優先
指定の追加はなく2015年からはGHS分類物質全てが対象となります。
③すでに3,000物質以上について参照SDS、ラベルが準備されウェブサイトから
ダウンロードできますが、利用できるのは台湾内の企業に限られています。日本の企業
でも台湾に系列会社や代理人があれば利用可能です。参照SDS、ラベルの分類は
義務ではなく根拠があれば自主分類でも問題ありません。
以上のように、台湾では2013年3月頃にGHS優先適用物質の追加候補の公表、6月に
改正法が成立すれば年内には既存化学物質の予備登録があると思われます。実施の詳細
についてはなお関係者間で協議中ですが、改正法の成立とともに下位法による実施の
詳細も明らかになると思います。弊社は引き続き新しい情報が入り次第、皆様に
お知らせいたします。また、台湾GHS対応SDS、ラベルの作成、予備登録代行
サービスも行います。皆様におかれましても新制度の実施に遅滞なく対応できるよう、
ご準備を進められるようお願いいたします。